Vol.21 チャン・ティ・フォン・ヴィさん(ベトナム)

 

【日本語でプレゼンテーション】にて発表している姿

ベトナム南部に位置する都市・ホーチミンで家族と愛情あふれる暮らしを送っていたチャン・ティ・フォン・ヴィさん。
現在は大田区にある福祉施設「いずみえん」で支援員として働いています。

国際都市おおた協会で開催された【日本語でプレゼンテーション】にも登壇し、『日本人が冷たいのは本当ですか』というテーマで、日本で出会った人々や日本にきて感じた感謝の気持ちを自らの言葉で発表しました。

そんなヴィさんの「これまで」と「これから」をお聞きしました。

※ヴィさんのプレゼンテーションの様子はこちらをご覧ください。

 

 

― 日本に行かない?

笑顔でお話するヴィさん

「ベトナムの大学で経済学を学んでいた時期に、国際交流の仕事に携わっていた親戚のお兄さんが『ヴィちゃん、日本に行かない?』と声をかけてくれたんです。

小さい頃からTVでドラえもんなどのアニメを観て、いつか日本に行ってみたいと思っていたので、これがチャンスだと思い日本に行くことを決意しました。

進路を変えることを『もったいない』と言う人もいましたが、『どうしても行きたい!』と両親を説得したんです。」ご両親の了承を得て、ヴィさんはベトナムの大学を退学。

現地で半年ほど日本語の勉強をし、9年前に来日しました。日本への第一歩を踏み出します。

 

― 利用者さんの笑顔を糧に

職場の同僚と一緒に

日本に到着してからは、語学学校に通いながら、居酒屋のスタッフなどいくつかのアルバイトを経験し、福祉系の大学で専門的な知識を習得。 

卒業後、現在の勤務先に就職しました。

努力家のヴィさん。そのパーソナリティは就職後も変わることもありません。

「今は大田区のいずみえんという福祉施設で働いています。特別養護老人ホームやデイサービスセンターを併設していて、私は障がい者支援施設に勤務しています。

ひとりひとりの個性や好みに合わせて介助するのは大変です。でも先輩たちをよく見て、真似て、自分にできることを増やしてきました。利用者さんが笑顔を見せてくれた時にやりがいを感じます!」

来年には利用者さんと一緒に地域のマラソン大会に出るというヴィさん。利用者さんのために、プライベートでも時間を惜しみません。

「ゆっくりでも良いので最後まで走れるように、これから頑張って練習する予定です。」

 

― 「自分は運がいい!」励ましに感謝

仲良しのアルバイト先の店長と

アルバイトなどを経験する中で、苦しいこともあったと率直に語ってくれました。

「みんなそれぞれ合う人、合わない人がいると思いますが、それはベトナム人も日本人も同じ。人を嫌うことはしたくないですし、できるだけ楽しい時間の過ごし方をしたいといつも思っています。」

苦しいことも乗り越えられるヴィさんの原動力はなんでしょうか。

「自分はとても運が良いと思っているんです。

今の職場では同僚や上司に恵まれていると強く感じますし、【日本語でプレゼンテーション】への参加も、いずみえんの上司が『やってみたら?』と声をかけてくれたことがきっかけでした。

暮らしの中で愛情をたくさんいただいて『がんばってね』とか『大丈夫?』とか、周りの人が声をかけ支えてくれたことが今の私の力になっています。」

 

― 日本とベトナムの違いについて

インタビュー中の様子

「日本に来て驚いたのはルールが多いことと、みんなが時間を守っていること!」と笑いながら話すヴィさん。

母国との違いを感じることは他にもありますか?

「家族との関係性です。

日本では高校を卒業した後に親元を離れる人が多いかと思いますが、ベトナムでは両親とずっと一緒に暮らしたり、一度離れても両親の面倒を見るために戻ってきて一緒に暮らす人が多いです。

あとは、日本では伝統文化が大切に残されていることも印象的ですね。

京都を訪れた時、都市部では歴史的な建物が残されていると同時に、郊外ではのんびりとした田園風景を見ることができて、とても素敵でした。生まれ育ったホーチミンは新しい建物が多いのですが、その分古い建物や自然が消えてしまっています。発展することは素晴らしいことですが、残すべきものを大切にすることも必要だと思います。」

 

― ヴィさんが見据える「これから」

ベトナムの旧正月にご家族と

「いずみえんでの仕事はとてもやりがいがあります。でも、いつか新しいことにチャレンジできたらいいな、という気持ちもあります。ベトナムと日本の架け橋になる企画を考える仕事や通訳に興味を持っていて、英語の勉強もしてみたいです!機会があれば色々なことに挑戦してみたいですね。」

インタビューの最後にヴィさんが語ってくれたのは、故郷への想いでした。

「お父さん、お母さんの近くにいてあげたいので、いつかはベトナムに帰ろうと考えています。でも、その前に一度両親に日本を案内したいですね。

私が働く素敵な日本を、見せてあげたいです。」

 

 

 

インタビュー終わりにヴィさんと一緒に(隣の外国人実行委員 福屋)

「やってみたい!」という自分の気持ちに正直に、ひたむきに努力を重ねてきたヴィさん。

インタビューを通してヴィさんの頑張りや真っすぐな気持ちに触れ、まわりの人たちが手を差し伸べたくなる理由がよくわかりました。

 

いつかベトナムのご両親が、日本で成長を続けるヴィさんの活躍を見られる日が来ることを願っています。

 

「隣の外国人」実行委員 福屋

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